KIKAKUNAの理念を反映するように
大手の住宅メーカーも、
地域の工務店も、
設計力に長けた設計事務所もおそらくやってない
建て方を独自にやっています。
ささやかな試みばかりですが
少しずつ蒔いた種は
どれも他にはない綺麗な花を咲かせていると
自負しています。
そんな上棟で工法だけは頑なに昔ながらのものを
使い続けていました。
大方の木造住宅が採用している在来工法です。
今回はその工法も思い切って
新しく金物工法に変更しての上棟です。
在来工法は木材に「鎌継ぎ」とか
「蟻掛け」といった加工をして
骨組を組んでいく工法です。
![](https://kikakuna.com/wp-content/uploads/2024/05/item02-e1716201447433.jpg)
昔は木だけで骨組を組んでいましたが
今はさらに接合部を補強する形で
金物も設置します。
![](https://kikakuna.com/wp-content/uploads/2024/05/IMG_4897-1-e1716201648108.jpg)
在来工法もきっちり金物を使うのですが、
新しい金物工法と明確に分けるため
金物も使う今も在来工法と呼んでいるんですね。
っで、今回採用の金物工法は
「鎌継ぎ」とか「蟻掛け」部分を金物に
置き換えた工法です。
つまり「鎌継ぎ」とか「蟻掛け」のような
加工をしない工法と言えます。
![](https://kikakuna.com/wp-content/uploads/2024/05/item03-e1716201722977.jpg)
いままでずっと在来工法を採用していた理由としては
複雑な凹凸をした木材が見事にかみ合う様が
コンクリート造や鉄骨造にはない心地よさを
感じさせてくれるからです。
昔とは違いその複雑な加工は大工さんではなく
機械が行いますが、
それでも海外にはない日本ならではの匠の技を
感じるんですね。
これぞ木造、これこそ木造と。
金物工法は木造らしいその部分を鉄に置き換えるわけで
それは柱や梁のないツーバイフォー工法で感じた
拒否感に近いものがあり、
味見することもなく
長年食わず嫌いをしていたわけです。
金物工法の採用は寒い朝に布団から抜け出すのと
同じように私にとって勇気がいるものでした。
ちなみに費用も金物工法のほうが高く、
30坪程度の建物でおおよそ40万円程度
在来よりも高くなります。
そんな好みではなく高い金物工法を
採用することにした理由、
それは2022年の尼崎市の家から採用した
壁のパネル化との相性の良さです。
在来工法の場合、補強金物を設置するために
工場で組まれた壁パネルの一部を欠き取らなければ
いけない箇所が出てきます。
↓こんな感じ
![](https://kikakuna.com/wp-content/uploads/2024/05/IMG_4884-1-e1716202066197.jpg)
![](https://kikakuna.com/wp-content/uploads/2024/05/IMG_4887-1-e1716202092552.jpg)
![](https://kikakuna.com/wp-content/uploads/2024/05/IMG_4888-1-e1716202121485.jpg)
壁のパネル化は現場作業の効率や精度をUPさせ
工期の短縮、現場でのごみを削減することによる
現場美化を目的に採用しているにもかかわらず、
その欠き取る作業が壁をパネル化する良さを
軽減させてしまうのです。
金物工法は金物が柱や梁の中に入ってしまい
表に出てこないため
壁パネルが綺麗に納まり
あとで欠き取る必要もありません。
↓たつのモデル
![](https://kikakuna.com/wp-content/uploads/2024/05/IMG_8687.jpg)
![](https://kikakuna.com/wp-content/uploads/2024/05/IMG_8689.jpg)
金物が見えず壁パネルの欠き込みなどもないので
とてもシンプルな骨組。
今回初めて金物工法を採用してみて
壁のパネル化とピタリとマッチし
それぞれのメリットが完全に発揮されたように
感じました。
スムーズかつシンプルに上棟を終え
おそろしいほど整った現場の中で感じた
言葉で表現しにくい感動は
それまで拘っていた木造らしさを無くした
後ろめたさに勝るものでした。
金物工法は私が考えた新しい種ではありませんが
KIKAKUNAの家に綺麗な花を咲かせる種でした。